ポケットWiFiのLAN側接続方法は?
ポケットWiFiのLAN側、スマートフォンやノートパソコンなどといったデバイスとの接続方法にはいくつかの方法があります。
ほとんどの方は設定が容易でかつ利便性の高いWiFi(無線LAN)で接続していることでしょう。とはいえ、カフェや図書館などではUSBで接続しているユーザーもたまに見かけることがあります。
これらの接続方法にはそれぞれ特徴があり、メリットもあればデメリットもあるのです。
そこで今回はポケットWiFiのLAN側の接続手段について、その種類と特徴などを詳しく解説いたします。
ポケットWiFiユーザーはどんな接続方法を選択しているのか?
特徴を解説する前に、現在モバイルルーターユーザーはどのようにLAN側の接続方法を設定しているのかを調べてみました。
いつもどおりインターネットによるアンケート調査を用いて、50名のユーザーを対象に調査したところ、以下のような結果となりました。
◇ユーザーの使用しているモバイルルーター
◇モバイルルーターのLAN側接続は?
ほぼ予想通りの結果ですが、ユーザーの9割がWiFi(無線LAN)で接続しています。USBケーブルや有線LAN(クレードル使用)は極少数派です。
ユーザーの声をいくつか拾ってみたところ、WiFi接続しているユーザーの場合
- 家の中ではひとつの部屋で使用することはなく、子供の部屋で使ったり、ダイニングのテーブルで仕事をしたりと使う場所があちこちとなるのでWiFi回線を使っています。
- 無線LAN接続ではパスワードの入力のみなので、簡単だから。
- パソコンとスマホ2台で接続するので無線LANで行っています。
- 手元が邪魔にならないことが一番で、余分なコード類を持ち歩かなくても使用できるから。
- 自宅は電波が入りにくくモバイルルーターを窓際においているため、ケーブルを使うと部屋の中で邪魔になるから。
- 無線以外の接続方法があることを知らないしめんどくさいから。
など、主に設定が簡単なことやケーブルが邪魔にならないことを理由に挙げています。
なお、WiFi利用者にLAN側の周波数について聞いてみたところ、
となりました。
意識して周波数帯を選んでいるのは全体の半分強であり、2.4Ghzと5Ghzの違いがわからないユーザーも多くいることがわかります。
つまり、これらの層は「よくわからないけど簡単だからWiFi(無線LAN)で接続している」ということではないでしょうか。
一方のUSBケーブルや有線LANのユーザーは?
アンケート結果では極少数でしたが、USBケーブルや有線LANで接続しているユーザーもいます。
これらのユーザーが有線接続を選択している理由は以下の通りです。
- 自宅で仕事をしていますので、有線LANのほうが接続が安定しており、通信速度が速く、さらにセキュリティ面でも優れていると考えるからです。
- 無線よりも有線の方が通信速度が幾分早いような感じを受けているので有線にして使用しています。
- 有線の方が安全性が高いので無線LANを有効にしておくのは安全性も不安があるため、USB接続を選択しています。
このように、主にセキュリティ面を理由に挙げています。
中にはポケットWiFiのタダ乗りをされた経験のあるユーザーもおり、セキュリティに関する意識が高いユーザーがUSBケーブルや有線LANを選択していることがわかります。
無線と有線の違いは、利便性vsセキュリティ?
ポケットWiFiのユーザーアンケートから見えてきたのは、WiFiを選択するユーザーはその利便性を、USBケーブルや有線LANを選択するユーザーはセキュリティ面を重視していることが伺えます。
この認識は正しいですが、両者の違いはそれだけではありません。
それぞれの接続方法にはどのように違いがあるのか、具体的に見ていきましょう。
WiFi接続の仕様とメリットデメリット
スマートフォンやタブレットは言うに及ばず、ノートパソコンでもポケットWiFiのLAN側をWiFi接続するユーザーが最も重視しているのが手軽さであることは間違いありません。
それを踏まえ、以下メリットデメリットをまとめてみました。
WiFi接続のメリット | WiFi接続のデメリット |
SSIDとパスワードを入力するだけで簡単に接続可能 | 2.4Ghzだと電子レンジなどの家電と干渉して寸断する |
ポケットWiFiをバッグに入れたままどこでもデータ通信 | 5GhzだとポケットWiFiとの間に壁があると接続が不安定 |
一度に複数台接続可能 | パスワードが漏れたらタダ乗りされる |
ポケットWiFiから数メートル近く離れていてもOK | バッテリーの消耗が早い |
データ転送速度が有線と比べて遅い |
手軽であることや利用シーンを問わず接続できることはWiFiの大きなメリットです。
ポケットWiFiから多少遠ざかっても問題なく通信できるのも魅力です。
理論値ベースで言うと、直線距離で100メートル離れていても大丈夫です。実際は100メートル離れた遮蔽物の無い環境でデータ通信を行うことなどないかと思いますが。
デメリットの中では、特に2.4Ghz帯の電波干渉はよくあるケースです。また、5Ghz帯の障害物による劣化も多いです。
最近のポケットWiFiであれば、2.4Ghzと5Ghzを設定で切り替えることもできますし、ノートパソコンもほとんどがどちらの周波数にも対応しています。
環境に応じて両方の周波数を切り替えるなどすればデメリットを軽減することは可能でしょう。
また、データ転送速度の遅さもデメリットです。この点については後述いたします。
USB接続の仕様とメリットデメリット
次にUSBケーブル接続ですが、前回の記事「【ポケットWiFi】WiFi接続とUSB接続、どっちが速い!?」でもご紹介した通り、以下大きく2種類のUSBケーブルがあります。
◇USB2.0
データ転送速度は480Mbps(理論値)です。規格が策定されたのが2000年であり、当時はこれでもかなり早い転送速度でしたが、1Gbps超えのポケットWiFiが発売されている現在ではスペック不足は否めません。
また、電力供給能力も500mA (5V)と小さめです。
◇USB3.0
USB3.0は2008年に策定された比較的新しい規格です。
5Gbpsという圧倒的な転送速度(理論値)があり、電力供給能力も900mA (5V)とUSB2.0より優れています。
例外はありますが、多くの場合USB3.0はコネクターの絶縁体部が青色(USB2.0は黒色)となっているため見分けがつきやすいです。
4~5年前から、ノートパソコンのUSBポートはUSB3.0が標準になっています。
従って、ケーブルさえ用意出ればUSB3.0の高速なデータ通信速度を実現することは可能です。
なお、USB3.0仕様のケーブルは下位互換性があり、USB2.0のコネクターに挿して使うこともできます。
ただし、その場合の転送速度はUSB2.0仕様となります。
速度面も含めたUSB接続のメリットデメリットは以下の通りです。
USB接続のメリット | USB接続のデメリット |
ポケットWiFiにタダ乗りされない | ケーブルの取り回しや持ち運びが邪魔 |
USB3.0だとかなり高速なデータ通信が可能 | ケーブルの長さに限度がある |
周囲の電波環境に左右されない | ポケットWiFiに標準で付属しているのはUSB2.0ケーブルなので遅い |
最新ポケットWiFiだとUSBコネクターを接続しただけで設定完了するプラグアンドプレイに対応 | 高速データ通信を行うならUSB3.0ケーブルを別途購入する必要がある ケーブルは比較的高い |
利用中もノートパソコンから充電できる |
WiFiとUSBの理論値速度比較
このように、WiFi接続とUSB接続にはそれぞれメリットデメリットがありますが、データの転送速度に絞ってみてみたいと思います。
ポケットWiFiの多くは無線LAN仕様がIEEE802.11a/b/g/n/acに対応しているので、すべてを記載しています。
あくまでも理論値ですが、仕様上以下のようなデータ転送速度を上限としているのです。
接続方法 | 最大データ転送速度 |
USB2.0 | 480Mbps |
USB3.0 | 5Gbps |
2.4Ghz (IEEE802.11b) | 11Mbps |
2.4Ghz (IEEE802.11g) | 54Mbps |
5Ghz(IEEE 802.11a) | 54Mbps |
5Ghz(IEEE802.11ac) | 6.9Gbps |
2.4Ghzと5Ghz共通(IEEE802.11n) | 600Mbps |
従って、ポケットWiFiのスペックを最大限発揮しようと考えたら、USBならば3.0、WiFiならば5Ghzで接続するのが良いということになります。
なお、最近のスマートフォンやタブレット、ノートパソコンはほとんど5Ghz(IEEE802.11ac)に対応していますが、廉価版や古いパソコンなどは対応していないものもありますのでご注意ください。
まとめ
ポケットWiFiのLAN側接続は、特に何も考えずWiFi(無線LAN)でデフォルト接続している方が多いと思います。
しかし、このように接続方法にもさまざまな種類がり、それぞれにメリットもデメリットもあります。
速度と安定性、そしてセキュリティすべてを重視するならUSB3.0を選択し、セキュリティを犠牲に手軽さを求めるならWiFiの5Ghzを。
設定などを難しく感じたりパソコンが古かったりする場合はデフォルトのWiFi2.4Ghzという具合に、自身の環境に合わせて設定を変更してみてはいかがでしょうか。