ポケットWiFiとテザリング、あなたはどっち?

ノートパソコンを外出先でネット接続する際、ほとんどの方はポケットWiFiか、スマートフォンのテザリングを利用するかで対応していると思います。

LTE網が全国津々浦々まで整備されたおかげで、どちらを使っても通信エリアに差が無く、大きな不満はありません。

Y!mobileのポケットWiFiはソフトバンクのLTE網を使用する形ですし、WiMAXは設定次第でauのLTE網を利用できるのがその理由です。

では、この両者の違いはどこにあるのでしょうか。

今回は外出先でノートパソコンを使うことを前提に、ポケットWiFiとスマートフォンのテザリングの違いを詳しく解説します。

ポケットWiFiとスマートフォンのテザリングの違いは?

ノートパソコンをポケットWiFiと接続してネットにアクセスするケースと、スマートフォンのテザリングを利用してアクセスするケースとでは、技術的に大きな違いはありません。

どちらもデータのパケットはポケットWiFiやスマートフォンを経由してやり取りが行われます。

ただし、ポケットWiFiはこういった用途に特化した専用アイテムであるのに対し、スマートフォンは「データを仲介する」という役割をメインとしたアイテムではない為、様々なデメリットが存在します。

参考としてiPhoneを例に挙げてみましょう。

2017年に発売されたiPhoneX以降のモデルをピックアップしてスペック上の速度とバッテリー容量を表にしてみました。

機種名 通信速度 バッテリー容量
iPhoneX 下り最大 500Mbps 2716mAh
iPhone XR 下り最大 650Mbps 2942mAh
iPhone XS 下り最大 676Mbps 2858mAh
iPhone XS Max 下り最大 676Mbps 3174mAh
iPhone11 下り最大 500Mbps 3110mAh
iPhone11 Pro 下り最大 838Mbps 3046mAh
iPhone11 Pro Max 下り最大 838Mbps 3969mAh

参考:ソフトバンク・よくあるご質問(FAQ)より

このように、データ通信速度の理論値はポケットWiFiと比較してやや遅いと言わざるを得ません。

バッテリー容量については最新ポケットWiFiと同程度の3000mAhオーバーとなっていますが、前述の通りスマートフォンは専用アイテムではないため、データ通信以外での消耗も考慮しなければなりません。

その点ポケットWiFiはデータ通信専用であるため同じバッテリー容量であればスマートフォンよりも「長持ち」するのです。

なお、iPhone 11 ProとiPhone 11 Pro MaxはNTTdocomoのプレミアム4Gに対応しているため特定エリアでは下り最大1388Mbpsとなっています。

こちらは同じNTTdocomoのポケットWiFi「Wi-Fi STATION HW-01L」と同等の性能です。

■Wi-Fi STATION HW-01L

特定の条件を満たせばスマートフォンのテザリングとポケットWiFiとで理論上のデータ通信速度が変わらない状況が生まれることでしょう。

ポケットWiFiとテザリングの速度の実測値を比較してみる

■Speed Wi-Fi NEXT W05

では、実際にどのくらい速度に違いが生まれるのか、実際に利用状況下で測定してみましょう。
測定条件は以下の通りです。

ポケットWiFi:Speed Wi-Fi NEXT W05 2.4GHzでWiFi接続 ハイスピードモード
スマートフォン:iPhoneX 2.4GHzでWiFi接続 キャリアはNTTdocomo
測定サイト:https://fast.com/ja/
測定場所:福岡市内中心部

まずは、他ユーザーの影響をほとんど受けないであろうAM3時過ぎの測定結果です。

■iPhoneの速度

33Mbps

■ポケットWiFiの速度

26Mbps

実測の測定結果はiPhoneの方がやや速いということになりました。
数回計測してみましたが、すべての測定においてiPhoneの方が3~15Mbps速いという状況です。

ただ、どちらも実用上は特に不便を感じることは無く、youtubeの動画も最高画質(1080p)でスムーズに再生できる速度です。

次にネット回線が最も込み合う時間帯と言われているお昼休み。

ポケットWiFiとスマートフォンともにネットに接続しているユーザーが多く、ネット回線上にはトラフィックが大量に流れるため遅くなる傾向があります。

■iPhoneの速度

31Mbps

■ポケットWiFiの速度

5.2Mbps

この時間帯はその差がより顕著に現れました。

テザリングはほぼ変わらないパフォーマンスを発揮していますがポケットWiFiは大きく速度を落としています。

複数回計測しましたが、テザリングは30Mbpsを下回ることが無く、逆にポケットWiFiは10Mbpsを上回ることはありませんでした。

外出先とはいえ建物の中だったことも影響しているかもしれませんが、この差は予想以上です。

カタログ値では勝っているポケットWiFiが実測値ではテザリングに及びませんでした。

ポケットWiFiとテザリングのコストを比較

では、それぞれのコストを比較してみましょう。

測定に用いたポケットWiFiはWiMAXプロバイダのGMOとくとくBBで契約しています。

参考:GMOとくとくBBはキャッシュバックで最安値級の大人気プロバイダ

月額料金はデータ無制限のギガ放題プランで4,689円です。

一方のiPhoneXはNTTdocomo契約であり、データ無制限プランが存在しません。
最も大容量のプランはギガ放題30GBとなります。

こちらは家族割などの割引条件が全くないと仮定した場合、月額7,678円です。(価格はいずれも税込)
どちらも端末代は考慮していません。

iPhoneは音声通話などの料金は含めず、純粋にデータ通信のみに必要なコストです。
なお、NTTdocomoの場合はテザリングオプションの設定が無く、自由にテザリングを行うことが出来ます。

単純に価格差だけを見るとポケットWiFiの方がリーズナブルです。

しかし、ほとんどの方はスマートフォンを保持しており、それにプラスしてポケットWiFiを持っているという状況でしょう。

そこで実際のユーザー状況を考慮し、スマートフォン+ポケットWiFiを持った場合とスマートフォンだけの場合とで比較してみましょう。

スマートフォンのデータ利用分 ポケットWiFi分 合計
スマートフォンだけ 7,678円 0円 7,678円
スマートフォン+ポケットWiFi 3,278円
(ギガライト1GB)
4,689円 7,967円

わずかですがスマートフォン+ポケットWiFiの方が高くなります。

とはいえ、ポケットWiFiはデータ無制限で利用できるという大きなアドバンテージがあります。

毎月のデータ通信量が多いユーザーや自宅回線代わりにポケットWiFiを利用しているユーザーなどは、スマートフォンのテザリングだけに依存するのは危険です。

ポケットWiFiとテザリングの制限を比較

最後に速度制限について比較してみましょう。

ポケットWiFiには3日で10GB以上使用すると速度制限になるという条件があります。
オーバーした場合は128kbspというとんでもなく遅い速度での通信を余儀なくされるため、速度制限には敏感にならざるを得ません。

一方のスマートフォンですが、NTTdocomoのギガ放題の場合月間上限(30GB)を超えたら速度制限が発生しますが、1Mbpsという比較的緩めのペナルティとなります。

この点においてもスマートフォンのテザリングにメリットがあるといえるでしょう。

ただし、NTTdocomoのギガ放題プラン以外はポケットWiFiと同じ128kbspとなってしまうため速度的には同条件となります。

結論:無制限に使うならポケットWiFiがお得!

以前であればポケットWiFiの方がスマートフォンのテザリングよりも通信速度もコストも圧倒的に有利な状況でした。

しかし、スマートフォンのスペックも徐々に向上してきたこともあり、その差は徐々に縮まっているといえます。

特に10月の大手キャリアの料金改定以降はスマートフォンでテザリングした方がよいという状況も発生してきました。
とはいえ、スマートフォンにはデータ無制限プランがありません。

毎月大量にデータ通信を行うユーザーにとってはポケットWiFiのデータ無制限プランが最も適しています。

参考:無制限のポケットWiFiを徹底比較。最もお得なのはこれだ

特に自宅回線も兼用している場合、高速無制限で利用できるポケットWiFiの方が使い勝手も格段に上です。

今後、ポケットWiFiについても徐々に料金改定が行われ、またさらに状況が変わっていくことでしょう。
毎月のデータ量が少ない人はテザリングを、多い人はポケットWiFiをといった棲み分けがこの先しばらく続いていくのではないでしょうか。

The following two tabs change content below.
h.katsura

h.katsura

福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。 20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。